AI AT WORK / 仕事・開発
架空の会議メモから議事録の下書きを作る:決定・担当・未確認を混ぜない依頼文
架空の書き殴り会議メモを使い、決定事項、担当と期限、未確認事項を分けた議事録下書きの依頼と、人が照合してから共有する手順を解説します。
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会議メモをAIに渡して議事録の下書きを作るときは、文章を整える前に、情報の状態を分けることが大切です。メモに書かれた決定、担当と期限、まだ確かめられていないことを別の欄に置けば、あとで人が原メモと照合しやすくなります。AIには推測を埋めさせず、根拠がない発言者や合意も足させません。
ここで扱うのは架空の安全な例です。録音、実在の会議、顧客情報、未公開の計画は使いません。下書きは共有前の作業物であり、会議の記録として確定するのは、参加者や責任者が原メモを確認したあとです。
先に決めるのは「何を議事録として扱うか」
書き殴りのメモには、決まったこと、案として出ただけのこと、誰の担当か分からないことが混じります。AIに「議事録にして」とだけ頼むと、その境目が文章の流れの中で見えにくくなります。依頼の前に、次の三つの箱を用意します。
- 決定事項:メモに決まったと読める内容だけを置く
- 担当と期限:名前または役割、期限がメモにある場合だけを置く
- 未確認事項:担当、期限、承認、数値などが書かれていない点を残す
たとえば「来週までに案を出す」は、誰が出すかが書かれていなければ、担当者を補いません。「Aさんが賛成した」と書かれていなければ、出席者の一覧から賛成者を推定しません。議事録の下書きで重要なのは、もっともらしい空白の補完ではなく、確認すべき空白を見える形にすることです。

AIへの依頼では、目的、渡すメモ、ほしい出力、補ってはいけない情報を分けて書きます。OpenAIは、依頼を明確かつ具体的にし、応答を確認して指示を調整する進め方を案内しています。[1] この分け方は、AIを万能な記録係にするためではなく、どの情報が元メモにあったかを追えるようにするためのものです。
架空の書き殴りメモを、材料のまま残す
次のメモは架空です。発言者を示す記号も、実在の人物や組織には対応していません。
企画ページ、今月中にたたき台。色は後で決める。
写真は使わない方向。素材の権利、確認必要。
次回は火曜午後? 参加者は未定。
A:見出し案を用意できそう。期限は書いてない。
この段階で「写真は使わないと決定した」「Aが見出し案を担当する」と言い換えるのは早すぎます。「方向」と書かれているなら、決定か検討中かをメモだけでは断定できません。「できそう」も、担当の確定とは別です。下書きにする前の材料として原文を残し、解釈が必要な箇所を未確認へ回します。
実務では、メモに含める情報を必要な範囲に絞ります。実在の氏名や連絡先、顧客情報、未公開資料を、下書きの練習のために外部サービスへ貼り付けるものではありません。扱ってよい情報の範囲は、所属組織のルールと利用するサービスの条件を確認して決めてください。
依頼文で「補わない」を具体的に指定する
上の架空メモを使うなら、依頼文は次のように書けます。
目的:架空の企画会議メモから、確認用の議事録下書きを作る。
元メモ:以下の文章だけを材料にする。
出力:①決定事項 ②担当と期限 ③未確認事項 ④次回確認すること、の見出しで整理する。
条件:発言者、合意、担当、期限、参加者、日時を推測で補わない。メモの表現が決定か不明な場合は「未確認事項」に置く。原文と区別したい補足は書かない。
出力形式を指定すると、読む人は「何が決まったか」と「何を確認するか」を別々に見られます。Anthropicも、期待する出力を具体的に指定することをプロンプトの基本として案内しています。[2] ただし、形式を指定しても、AIが内容を正しく理解したことは保証されません。材料と下書きを照らす確認は残ります。
下書きでは、決定と未確認を同じ文に置かない
この例から作る下書きは次のように短くできます。
決定事項
- メモに決定として置ける項目はない。
担当と期限
- 確定した担当と期限はない。
未確認事項
- 企画ページのたたき台を今月中に作ることが決定か、誰が担当し、期限が確定しているか
- 写真を使わないことが決定か、検討中か
- 素材の権利を誰がいつ確認するか
- 次回の日時と参加者
- 見出し案の担当と期限
ここでは元メモの曖昧さを消していません。企画ページのたたき台と「今月中」は未確認事項に置き、決定、担当、期限が確定しているかを確認対象にしています。下書きの見出しは記録を完成させたように見せる飾りではなく、照合の順番をつくる道具です。
人が照合する順番を、共有前に残す
下書きができたら、元メモと見比べます。確認者は書きぶりの良し悪しより先に、記載の根拠を確かめます。

- メモに戻る:下書きの各項目に、元メモの該当箇所があるかを探す。
- 決定を確かめる:「方向」「予定」「できそう」を、決定として書き替えていないかを見る。
- 担当と期限を確かめる:誰が何をいつまでに行うかが、メモまたは会議の確認で明らかかを見る。
- 未確認を残す:答えがない項目を消さず、確認する相手と方法を人が決める。
- 確認後に共有する:確認者が下書きを直し、共有してよい内容と範囲を判断する。
この順番でも、AIの出力を正しい記録とみなすわけではありません。会議に参加していないAIは、沈黙、言い直し、承認の有無をメモの外から知ることができません。録音や実データを扱う必要があるときは、入力前の取り扱い可否を人が判断し、必要なら承認された社内の手順を使ってください。
確認できない項目が残る下書きは、失敗ではない
議事録の目的は空欄を自然な文章で埋めることではなく、次の行動を誰が確認するかを分かるようにすることです。架空の小さなメモで、決定、担当と期限、未確認事項を分ける練習から始めてください。AIには下書きの整理を頼み、会議の事実を確定する役目は人に残します。
参考にした公式資料
- OpenAI Help Center, “Prompt engineering best practices for ChatGPT”
- Anthropic, “Prompting best practices”