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AIで作るメールの下書き:確定事項と未定事項を分ける

架空の社内確認メールを使い、件名・要点・依頼・未定事項を分け、送信前に人が確認する手順を初心者向けに解説します。

AIで作るメールの下書き:確定事項と未定事項を分けるのサムネイル

メールの下書きでは、文章を早く整える前に「確定していること」と「まだ決めていないこと」を分けます。AIは文の形を提案できますが、送る相手、事実、約束、添付の正しさを代わりに決める役ではありません。ここでは、架空の社内確認メールだけを材料に、下書きから送信前確認までを組み立てます。実在の顧客や送信実績は扱いません。

下書きに渡す材料を四つに分ける

最初に、AIへ渡す材料を「宛先」「確定した要点」「依頼」「未定」に分けます。たとえば、架空の社内勉強会の準備確認なら、次のように書けます。

  • 宛先:運営を担当する社内メンバー
  • 確定した要点:テーマは「業務でのAI活用」、候補日は11月の平日
  • 依頼:会場候補と進行担当の確認をお願いする
  • 未定:開始時刻、参加人数、配布資料の有無

この分け方は、AIに情報を多く渡すためのものではありません。本文に入れてよい事実と、勝手に補ってはいけない事項を見分けるための準備です。個人情報、顧客情報、未公開の数値を使わなくても下書きの練習はできます。実際の業務で使うときは、所属組織のルールと利用するサービスの条件を確認し、入力してよい範囲を人が決めてください。NISTは生成AIの利用で、信頼性に関するリスクを文脈に応じて扱う考え方を示しています。[1]

宛先・確定事項・依頼・未定事項を分ける図
図:宛先、確定事項、依頼、未定事項を分けて、メールの材料を確認する。

架空の確認メールを依頼文にする

次は架空の材料です。会社名、氏名、連絡先、実際の予定は含みません。

目的:架空の社内勉強会の準備確認メールを下書きにする。
宛先:運営を担当する社内メンバー。
確定事項:テーマは「業務でのAI活用」。候補日は11月の平日。
依頼:会場候補と進行担当を確認してもらう。
未定事項:開始時刻、参加人数、配布資料の有無。
出力:件名案を2つ、本文を1案、未定事項を最後に別記する。
条件:未定事項に仮の日時・人数・添付を入れない。送信はしない。

この依頼では、AIに判断を任せる場所を狭くしています。AIに求めるのは件名と本文の下書きであり、会場、時刻、添付の有無を決めることではありません。本文に「添付をご確認ください」と書かれていれば、材料にない約束が足された合図です。下書きから削るか、担当者に確認して確定情報として入れ直します。

メール本文を一度に完成させようとせず、まず件名、伝える要点、依頼、未定事項の順に見ます。件名は相手が内容を見分けるための短い案です。要点は確認済みの事実だけ、依頼は相手にしてほしいことだけ、未定事項は決めていない状態のまま残します。この順序なら、文章のやわらかさを直す作業と、事実を確認する作業を混同しません。

期限が未定なら、期限未定と書く

AIの下書きには、もっともらしい締切や予定が混ざることがあります。材料に「来週まで」「金曜まで」といった期限がなければ、本文へ追加しません。「確認期限は未定です。決まり次第、別途知らせます」のように、未定であることを残す方が安全です。

同じ考え方は、約束にも使えます。「資料を添付します」「会議室を予約済みです」「参加者へ共有します」は、実際に決まっていると確認できたときだけ書きます。言い回しが自然でも、約束の有無は文章表現の問題ではありません。担当者が確認する事実です。

出力を直すときは、「もっと丁寧に」とだけ頼むより、観察した箇所を示します。たとえば「開始時刻が未定なのに18時と書かれている。時刻を削除し、未定事項へ移す」と書けば、次に変える範囲が明確です。生成AIの出力は、設定した目的に照らして評価し、必要に応じて見直す対象です。[1]

送信前に三つの確認をする

下書きができても、そのまま送信には進みません。最後に、送る責任を持つ人が次の三つを確認します。

  1. 相手:宛先、CC、敬称、共有してよい範囲は合っているか。
  2. 事実と約束:日付、場所、依頼内容、期限、添付の有無は、元の材料や担当者の確認と合っているか。
  3. 送信の可否:未定事項を仮定していないか。社外送信や機密情報を含む場合は、組織の手順に沿っているか。
下書きから送信前確認へ進む図
図:下書きを作り、相手・事実・約束を人が確認してから送信の可否を判断する。

この確認は、AIが間違える前提で疑うためだけの作業ではありません。送信は相手との約束や情報共有につながるため、誰が内容を確定するかを明らかにする作業です。OECDのAI原則も、説明責任や人による監督を含む信頼できるAIの考え方を示しています。[2] ただし、この記事の確認手順は特定の組織やサービスが承認した手順ではありません。自分の職場の規則があれば、そちらを優先します。

下書きと送信を分けると見直しやすい

AIに任せるのは、文面の候補をつくるところまでです。宛先、事実、約束、添付、送信は人が確認します。最初から架空の材料で「未定を補わない」下書きを試すと、実際の情報を使わずに確認の型を練習できます。本文が整って見えても、送信できる状態かは別に確認してください。

参考にした公式資料

  1. NIST, Artificial Intelligence Risk Management Framework: Generative Artificial Intelligence Profile
  2. OECD, OECD AI Principles